性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性への理解増進「基本計画」閣議決定

2026/06/17 更新: 2026/06/17

16日、「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」(以下、理解増進法)第8条に基づき、「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する基本的な計画」(以下、基本計画)が閣議決定された。本計画は、全ての人が生きがいを感じられ、多様性が尊重される包摂的な共生社会の実現を目指し、理解増進施策を総合的かつ計画的に推進するための基本的な事項を定めたものと謳われている。

SOGIを取り巻く現状と課題

基本計画では、性的指向及びジェンダーアイデンティティ(SOGI:Sexual Orientation Gender Identity)について、特定の人のみを対象とするものではなく、全ての人を含む表現であると定義している。 現状の課題として、SOGIのあり方は必ずしも外見上明らかではなく、当事者意識の欠如が理解増進の必要性が認識されない理由の一つとして指摘されている。また、当事者の中にはいじめやハラスメントを経験したり、家族に打ち明けられず孤独・孤立を抱えたりする人がいること、同意なく自身のSOGIを暴露されること(アウティング)やカミングアウトの強要が大きな精神的苦痛をもたらす可能性があることが記載されている。 一方で、SOGIの多様性について認識しつつも、自分の言動が誰かを傷つけはしないかという戸惑いや不安を感じている人がいることにも言及されている。

理解増進施策の基本的考え方

本施策は、全ての国民がSOGIにかかわらず、等しく基本的人権を享有する個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、不当な差別はあってはならないとの認識の下に行われるとされている。 施策の推進に当たっては、学術研究等により得られた知見を踏まえつつ、学校、地域、家庭、職域などの様々な場を通じて重層的に知識を普及することが望ましいとされている。また、SOGIの多様性に関して国民の間に様々な意見があることを踏まえ、異なる意見に対しても寛容の精神に立ち、自由な意見交換ができる気運の醸成に努めることが重要であると明記されている。

各主体の役割と具体的な施策

理解増進法では、施策の実施主体として「国」及び「地方公共団体」を規定し、協力等を行う主体として「事業主」及び「学校の設置者等」を定めている。基本計画に定められた具体的な施策は以下の通りである。

  1. 学術研究等 施策推進の基盤として、国民の意識の定期的な把握や、国内外の状況・研究動向の把握を進める。
  2. 知識の着実な普及
    • 国・地方公共団体: リーフレットや研修動画等を作成し国民や住民の理解増進を図る。また、行政職員、警察職員、医療機関、福祉関係施設等に対して知識の普及や研修を実施する。
    • 事業主: 公正な採用選考システムを推進するとともに、SOGIに関する侮辱的言動や同意のない暴露(アウティング)、開示の強要等がパワーハラスメント等に該当し得ることについて周知を行う。
    • 学校等: いじめや差別はあってはならないとの認識の下、児童生徒の心身の発達に応じた教育の実施や、教職員に対する研修等を通じた理解増進を図る。
  3. 相談体制の整備 国や自治体におけるハラスメント相談体制の整備、学校におけるスクールカウンセラー等の活用を進める。加えて、「よりそいホットライン」や「孤独・孤立相談ダイヤル」等の既存の窓口においてもSOGIを背景とした悩みに対応し、相談機関全体への知識普及を実施する。

今後の推進体制と見直し

これらの施策について、政府は毎年一回、実施の状況を公表する。また、法律の規定を踏まえ、おおむね3年ごとに基本計画の見直しを行うこととされている。

大紀元日本の速報記者。東京を拠点に活動。主に社会面を担当。その他、政治・経済等幅広く執筆。
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