骨太方針素案 安全保障色を強化 国営工廠や留学生審査厳格化

2026/06/24 更新: 2026/06/24

日本政府が7月に策定する「経済財政運営と改革の基本方針」、いわゆる骨太の方針の素案が判明した。有事に備えた防衛装備品の生産体制強化策として、国が製造施設を保有する「国営工廠(コウショウ・ 艦船 、兵器、弾薬、 機関 などの軍需品の製造、修理を行う工作庁)」の設置を検討する方針が盛り込まれた。留学生の審査厳格化や経済安全保障体制の強化も含まれており、安全保障を前面に打ち出した内容となっている。

政府は7月の閣議決定に向け、各省庁や与党との調整を進める。

素案で焦点となるのは、防衛装備品の安定供給である。弾薬やミサイルなど、有事に消耗が激しく、不足が懸念される装備品について、国内での増産能力を高める。その具体策として、国が工場などの施設を所有し、実際の生産や運営は民間企業に委ねる「国営工廠」の仕組みを検討する。

狙いは、武力攻撃事態などが長期化した場合でも、装備品を継続的に供給できる「継戦能力」を高めることにある。

背景には、日本の防衛産業が民間企業に依存している一方、平時の需要だけでは生産ラインや人材を維持しにくいという課題がある。有事になってから増産しようとしても、設備、人員、部品、原材料を短期間で確保することは難しい。そのため、平時から国が生産基盤の維持に関与し、必要な場合には重要装備品の供給を確保できる体制を整える考えだ。

防衛生産基盤強化法ではすでに、サプライチェーンの強靱化、製造工程の効率化、サイバーセキュリティの強化、事業承継支援に加え、国が装備品の製造施設を取得し、防衛産業に管理を委託する仕組みが定められている。今回の「国営工廠」構想は、こうした制度をさらに具体化し、有事への備えを強めるものとみられる。

また、素案には外国人政策の見直しも盛り込まれた。留学生については、在留資格の審査を厳格化する方針だ。留学の資格で入国しながら、実態としては学業より就労が中心になっているケースや、資格外活動の範囲を超えた就労などを念頭に、在留状況の確認を強める。

政府はこれまでも、外国人の在留審査や社会保険料の未納情報などの活用を進める方針を示しており、今回の素案でも適正な在留管理を重視する姿勢を示した。

経済安全保障の分野では、国家安全保障局を司令塔として位置づけ、物流を含む社会インフラ基盤のリスクを総点検する方針も示した。防衛装備品のサプライチェーンだけでなく、エネルギー、通信、物流など、国民生活や企業活動を支える基盤についても、外部からの影響や供給途絶に備える狙いがある。

社会保障分野では、現役世代の所得に占める医療・介護などの保険料負担の比率を抑えることも重要な論点となる。高齢化に伴い社会保障給付費が増えるなか、政府は薬剤費や高齢者の窓口負担の見直しなどを通じ、現役世代の保険料負担の上昇を抑える方針だ。

今回の骨太方針素案は、経済財政政策にとどまらず、防衛産業、経済安全保障、外国人の在留管理、社会保障改革を一体的に見直す内容となっている。政府は国際情勢の緊迫化を踏まえ、国内の生産基盤と社会インフラを強化し、有事に備えた体制づくりを急ぐ構えだ。

一方で、国が防衛装備品の製造施設を持つことには、財政負担や民間企業との役割分担、平時の稼働率などの課題も残る。留学生審査の厳格化についても、適正な在留管理と、教育・研究分野で必要な外国人材の受け入れをどう両立するかが問われる。

骨太の方針は、翌年度予算編成や政府の政策運営の土台となる。今回の素案は、高市政権が掲げる安全保障重視の姿勢を色濃く反映したものといえ、今後の閣議決定に向け、具体策の中身が焦点となる。

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。
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