【大紀元日本5月3日】4月30日に開かれた上海万博の開幕式に、江沢民前総書記の姿がなかった。胡錦濤体制になってからも大きなイベントには顔を出したがる江沢民氏だが、昨年12月以来公の場に姿を現すことはなく、民間では、すでに失脚したとの見方が広まっている。上海を政治資本として出世し、上海での政治勢力を制覇してきた江氏が上海万博の開幕式に出席するかいなかは、江氏の政治勢力の指標とされ、今回の欠席で失脚の見方が再び強まっている。
新華社の報道によると、当日夜開幕式に出席した政府要人は、胡錦濤国家主席のほか、李長春、習近平、李克強、賀国強、周永康など中央政治局常務委員。温家宝総理の欠席も注目されるが、江沢民氏の出席を牽制するための胡主席の策略であるとの見方もある。
香港「開放」雑誌編集長の金鐘は、今回の出席メンバーの構成は、2年後の十八大(中国共産党第18回全国代表大会)を控えた激しい権力闘争の結果であり、胡錦濤主席が政権を主導しているとのメッセージを強めるためのシグナルだと見ている。
山東大学元教授で自由派学者・孫文広氏によると、今回の江氏の欠席を含め、万博開催前にあった新疆自治区の王楽泉前党書記の更迭など一連の出来事は、江氏失脚説を裏付ける証しであると指摘。政治局委員の王楽泉氏は江沢民派閥であり、王氏の更迭は江派閥の大きな損失であると孫氏は話す。
昨年末以来ネット上で広く報道されている江氏に対して法輪功団体が起した訴訟も、江氏が公の場から姿を消した大きな原因であると孫氏は見ている。
3月末から4月初にかけて、中国の大手検索エンジン「百度」(バイドゥ、Baidu)や「捜狗」(Sogou)などで、江沢民前総書記が法輪功迫害への加担で海外で訴訟されたニュースを一時的に検閲解除した現象が数回にわたって発生した。それにより、一般のネットユーザーをはじめ中国政治問題専門家や学者などの間では、江・胡の派閥闘争が激化し、江沢民前総書記はすでに失脚したのではないかとの見方が広まっている。
中国民間戦略学者で江沢民研究で知られる呂加平氏(湖南省在住)は4月初め、江沢民訴訟報道の検閲解除について、本紙の取材に「軟禁されている可能性が高い。上海万博の開催にあたってもまだ姿を見せなかったら、間違いなく彼は失脚したということだ」と、江氏がすでに失脚したとの見方を示した。
一方、万博開幕式の一週間前に、江氏は、李鵬前人大委員長、朱鎔基前総理などと一緒に万博会場を訪問したと中国各メディアが政府報道機関の報道文を転載していたが、何れも当時の様子を伝える写真がなく、観光客が並ぶ列や、会場スタッフの写真のみが掲載されていた。失脚説を否定するためのでっちあげとの見方もある。
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