[ワシントン 11日 ロイター] – バイデン米大統領は11日、インドのモディ首相とオンライン会談し、ウクライナへの侵攻を続けるロシアに対する圧力を強めるために、米国の対応を後押しするよう要請した。
会談は約1時間にわたり行われ、両首脳はともに、民間人とみられる遺体が多数見つかったウクライナ首都キーウ(キエフ)近郊ブチャなど、ウクライナでの状況に警戒を強めていると表明した。
米当局者によると、ロシアがウクライナに侵攻した2月24日以降、インドがロシア産原油購入を拡大したことについて、バイデン大統領はモディ首相に対し、インドの利益にはならないという認識を示した。同時に、特定の要求も示さなかった。
米政権のシン国家安全保障担当副補佐官は3月末、インドのロシア産原油輸入を巡り「レッドライン(越えてはならない一線)」を設ける考えはないとしつつも、ロシア産原油購入の「急速な加速」も望んでいないという認識を示していた。
当局者は会談のムードについて「穏やか」かつ「非常に率直だった」とした上で、「インドは独自の判断を下すことになる」と述べた。
ホワイトハウスのサキ報道官は、インドがエネルギー輸入を巡り何らかのコミットメントを示したかどうかについて明確にすることを避けたものの、米政府はインドによるエネルギー源の多様化を支援する用意があると語った。
会談ではさらに、モディ首相はウクライナ・ブチャについて言及し、「罪のない民間人が殺害されたというニュースは非常に懸念される。われわれは直ちに非難し、独立した調査を求めた」と述べた。さらに、最近行ったロシアとの対話で、プーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領による直接会談を提案したことを明らかにした。
また、バイデン大統領はモディ首相に対し、「5月24日ごろ」に日本で開かれる予定の日米豪印の枠組み「クアッド」首脳会議での会談を心待ちにしていると述べた。
ロシアと西側諸国、双方との関係のバランス維持を模索するインドは、クアッドの他のメンバー国とは異なり、対ロシア制裁に踏み切っていない。
11日にはワシントンで米国のブリンケン国務長官、オースティン国防長官、インドのジャイシャンカル外相、シン国防相による会談も行われた。
ジャイシャンカル氏は記者会見で、ロシアからのエネルギー購入に関する質問に対し、インドではなく欧州に焦点を当てるべきだと指摘。「おそらく、1カ月の総購入量は欧州の半日分よりも少ないだろう」と述べた。
ブリンケン氏はインドとロシアの関係について、米国がインドのパートナーになり得なかった時代に数十年にわたって発展してきたが、その後時代が変わったと述べた。
「現在、われわれは事実上あらゆる領域でインドをパートナーとして選択でき、またその意思を持っている」と会談後の共同記者会見で述べた。
インドの防衛に関する近代化ニーズは双方が長時間にわたって議論した重要なトピックだったという。
オースティン氏は、両国は宇宙での情報共有と協力に向けた2国間協定に署名したと明らかにした。
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