中華民国(台湾)総統選挙は、今年1月13日に投開票される。投票日まで残り1日と迫るなか、候補者3人とも最後の追い込みに向けた激しい選挙戦を進めている。
「もし親共陣営の候補者が当選したら、台湾はすぐに、中共によって統一されるのか」
多くの人がもつであろうこの懸念について、台湾情勢に明るい時事評論家の唐浩氏は、以下のように分析する。なお、台湾の総統選挙は「総統候補と副総統候補のペア」で選挙が行われる。
そもそも、今回の台湾総統選挙における「親共陣営」とは、具体的にどこを指すか。
中国(中共)政府で、台湾政策を担当する国務院・台湾事務弁公室の陳斌華報道官は昨年11月29日、台湾の与党・民進党の頼清徳候補のペアを「戦争製造者」と呼び、中台衝突のリスクについて警告した。陳氏は「頼清徳候補のペアが当選すれば、台湾独立がさらに推進される」という。
いっぽう台湾の最大野党・国民党の侯友宜候補について、陳斌華報道官は「(大陸との)協力」に意欲を示した。中国共産党は明らかに、台湾の有権者が「侯友宜」に投票することを期待している。
柯文哲氏(民衆党)は「中台関係の議論には加わらない」と主張しながらも、現状維持を繰り返し表明している。そうした柯文哲氏の路線は、中国を挑発するか、中国に従うかの間にある台湾の有権者に対し、自らを「第3の選択肢」だと位置づけている。
唐浩氏は「理屈の上では、どの陣営が当選しても、台湾政府の両岸政策がすぐに大きく変わることはない」と分析している。
「何しろ、いまは『反共』や『中国の封じ込め』という国際環境がある。反共の欧米や日本などの国々は目下、台湾の主な経済・貿易協力の対象である。それに対して、中国経済は今とても悪い。もし台湾が、直ちに中国を抱擁して、他の各国とデカップリングすることは、台湾にとって自滅に等しい」
「また、台湾では84%以上の国民が『一国二制度』に反対し、現状維持を望んでいる。したがって、たとえ親共の候補者が当選したとしても、すぐに公に(中共へ)投降する可能性は低い。結局のところ、誰が当選しようと、真っ先にやることは政権の安定だ」
したがって「もし親共陣営の候補者が当選したら」という仮定、つまり現段階では「中共が望まない」頼成徳氏が優勢と伝えられるなかで、あえて「国民党の侯友宜氏が当選したら」という可能性の低い結果を仮定した設問に答えるならば、たとえそのような結果であっても、台湾はすぐには中共中国に統一されることはないだろう。
唐浩氏も、自身の見解のなかで触れたように「中国経済は今とても悪い」。
それをふまえて、台湾の賢明な有権者がどのような判断を下すのか。今週末の台湾に、世界の注目が注がれる。
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