日本の自動車産業再編 ホンダ日産統合とEVシフトの行方

2024/12/26 更新: 2024/12/26

日本の自動車産業が大きな転換期を迎えようとしているのか。23日、ホンダ日産自動車は、経営統合の本格的な協議入りを国に報告した。日産と企業連合を組む三菱自動車も年明けに遅れて合流を判断する見込みだ。

2社は持ち株会社設立による統合を検討しており、2025年6月の最終合意を目指す。背景にテスラやBYDなど新興メーカーの台頭、ここ数年のEVや自動運転技術の急速な進展、またソフトウェア開発の重要性も増大しており、それに伴って巨額の開発投資の必要性が高まってきたことが指摘されている。

統合後、ホンダと日産が世界3位の自動車グループになる見込みで、サプライチェーンにも大きな変動が予想される。

その一方で、世界トップを走るトヨタ自動車も中国・上海で電気自動車(EV)生産の新工場建設を計画していることが明らかになった。その工場では高級車ブランド「レクサス」のEVを製造する予定となっており、トヨタにとって初の単独出資による現地工場となる。需要動向次第で計画変更の可能性あるものの、2027年頃の稼働を目指している。

現在、世界の自動車企業に変革の波が来ている。その先導を切るのはEVだろう。

2024年売上増加したEV 

2024年、EVの売上は増加している。自動車業界に特化した情報サイト 、マークラインズの情報によると、主要12か国とノルウェー、スウェーデン、フィンランドの北欧3か国(計15か国)における10月のEV販売台数160万6千台、前年同月比で43.1%増と大きく伸び、前月比でも6.2%増加し過去最高を更新している。全体の自動車売上の電気自動車が占める割合は28.0%で、前年同月比では7.2ポイント増、前月から0.3ポイント増加した。

台数は2か月、シェアは3か月連続で過去最高を記録している。1~10月の電気自動車累計販売台数は、前年同期比25.6%増の1171万5千台で、自動車販売台数全体に占めるシェアは23.0%となった。

企業別で見ると中国勢の伸びが著しく、世界EV販売を牽引している。首位は中国のBYDで10月から8万6千台増48万1千台、次いで同じく中国のGeelyが前月から1万7千台増の13万8千台で初の2位に浮上。3位はアメリカのGMグループで前月比1万5千台増の11万3千台。Teslaは前月から4万8千台減の11万1千台で4位。VWグループは前月から1千台増の7万7千台で5位だった。

欧米諸国から中国製EVへ逆風

しかし現在、こうした中国EVの勢いにブレーキがかかっている。中国共産党政府による優遇融資や補助金の後押しもあり急速にシェアを拡大してきた中国製EVは欧米諸国からの高率関税に見舞われている。

アメリカは9月EVへの関税を100%かけると発表、10月には欧州委員会も中国製EVに対し最大45.3%の関税を課す決定をしており、2025年の中国製EV販売台数が大きく下落することは避けられない状況だ。

変革を迎える自動車産業

自動車産業は、EV化、自動運転、コネクテッド化など、技術革新による大きな変革を迎えており、従来のような単に新しい車を生産することにとどまらない。今回のホンダと日産自動車、日本の2大巨大自動車メーカ統合の話題は、世界の自動車企業が運転方法から、所有の概念、インフラの整備、さらには産業全体のビジネスモデルに至るまで変革の時期を迎えていることを示唆している。統合が実現すれば、どのような影響を与えるか、今後の展開が注目される。

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