4〜6月期GDP 年率2.2%増 統計は景気回復 家計は節約志向

2025/09/08 更新: 2025/09/08

内閣府が8日に発表した2025年4〜6月期のGDP改定値は、実質で前期比0.5%増、年率換算で2.2%増となり、8月公表の1次速報値(前期比+0.3%、年率+1.0%)から大幅に上方修正された。

GDPの約半分を占める個人消費は、速報値のプラス0.2%からプラス0.4%に上振れ、家計消費の伸びが想定以上だった。さらに輸入の減少が重なり、外需も成長し押し上げた。一方、設備投資は速報値のプラス1.3%からプラス0.6%へと下方修正され、、企業の先行きに対する慎重な姿勢がうかがえる。

また、総務省が5日に公表した7月の家計調査によると、2人以上世帯の消費支出は1世帯あたり30万5694円で、物価変動の影響を除いた実質ベースでは前年同月比1.4%の増加となった。内訳をみると、交通・通信(自動車購入)、光熱費、家具・家事用品が大きく伸び、特に保健医療と交通・通信がそれぞれ11.5%、14.8%の増加を記録した。一方で、食料、被服、教養娯楽、交際費といった日常的な支出は減少しており、「生活必需的なものや大きな買い物に支出が増え、日常的な楽しみや交際費は節約する」という家計の姿が浮かび上がった。

経済情報サイト「トレーディング・エコノミクス」によると、7月の食料品価格は前年同月比7.6%上昇し、生活コスト上昇が続いていることを示している。

GDP改定値の上振れは、消費の底堅さと外需の寄与が主因となった。ただし、企業の設備投資は下方修正されており、成長の持続力という点では力強さを欠く。

家計支出の内訳をみると、自動車や光熱費など必需品や高額支出が伸びる一方で、食料や娯楽、交際費など裁量的な消費は抑えられている。物価高の影響で「必要なものにはお金を出すが、楽しみの支出は控える」という傾向が鮮明だ。

さらに、食料インフレ率は前年同月比7.6%と高い伸びを示しており、家計の財布を圧迫し続けている。統計上は景気回復が示されても、生活実感はむしろ負担増というギャップが浮かび上がる。

 

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。
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