中国 小中学校統一試験中止で揺れる教育現場 露呈する教育改革の矛盾

2026/02/13 更新: 2026/02/13

中国の複数の地域で、小中学校の学期末統一試験が相次いで中止され、教育現場や保護者の間で議論が広がっている。

ある保護者は「統一試験がなくなれば、子供が自分の学力向上に向き合わなくなるのではないか。将来の大学入試(高考)にどう対応するのか」と不安を示している。

実際、中国の大学入試「高考(ガオカオ)」は依然として得点重視で行われている。そのため専門家は、今回の改革について「学生の成長を最優先にした教育改善というより、共産党上層部への政治的アピールの側面が強い」と指摘する。

近年、中国では青少年のうつ症状や深刻な事件が増加し、学生の自殺報道も後を絶たない。こうした背景には、学校教育制度の問題があるのではないかとの指摘がある。

2023年12月、中国教育部は「小中学校の日常試験管理をさらに強化する通知」を発表した。
そこでは以下の項目が明確に定められた。
・日常テストの回数削減
・小学校全学年および中高の非卒業学年での地域統一試験を禁止

その後、成都・広州・青島などの都市が、卒業学年以外の地域統一試験の中止を発表し、学校ごとの自主評価へ移行する方針を示した。教育当局は「学業負担を軽減し、心身の健康を重視するため」と説明しているが、社会では懐疑的な声も根強い。

湖北省の保護者・張さんは次のように語る。「子供は小学校から大学入試まで、結局は選抜の道を進む。最終的に評価は成績だ。今回の改革は、上層部向けのパフォーマンスに見える」

評論家も、大学入試が得点主義のままである以上、「楽しい教育」改革は自己矛盾を抱えていると指摘する。

張さんはさらに、教育改革が長年続いていることにも触れる。「私が中学生の頃から改革は続いているが、成功していない。改革を掲げながら、経済的利益は手放さないという矛盾がある」

海外の中国人権弁護士・呉紹平氏も、次のように指摘する。「高考では成績以外の評価はほぼ意味を持たない。小中学校で成績を軽視しても、最終的には点数で選抜する」

ネット上で批判が広がる背景には情報格差がある。裕福な家庭は独自の学力測定手段を持てるが、一般家庭は「唯一の公平な基準」を失うという。

さらに呉氏は、中国社会の不平等にも言及する。「社会的信用が失われ、公平な評価が難しい。権力者の子供は優遇されやすく、一般家庭の子供は不利になる」

また、保護者が成績公開を求めても、教育当局は公表を避ける傾向がある。その理由は、成績不振による親の過度なプレッシャーが、子供の自殺につながる可能性があるためだという。

こうした状況の中で統一試験を廃止することは、「問題を先送りするだけ」との見方もある。一時的な安心感は生むが、最終的に準備不足の家庭に大きな打撃を与えるという。

評論家は、統一試験を廃止し「学校自主評価」に置き換えた場合、誰が公平性を担保するのかという新たな問題が生じると指摘している。

新唐人
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