[東京 22日 ロイター] – 政府は22日、ロシアが日本との平和条約交渉を打ち切ると発表したことについて、不当なものだとして強く抗議した。
岸田文雄首相は午前の参議院予算委員会で、ロシア側の発表について「極めて不当であり、断じて受け入れることができない」とし、日本として強く抗議すると語った。
ロシア側が打ち切りの理由として、日本がウクライナ情勢を巡ってロシアに対する制裁措置を導入したことを挙げていることに関しても「すべてロシアによるウクライナ侵攻に起因して発生しているものであり、それを日ロ関係に転嫁しようとするものだ」との見解を示した。
一方、首相はロシア経済協力プランの21億円が盛り込まれている来年度予算案について、修正する考えはないことを明らかにした。経済産業相が兼務するロシア経済分野協力担当相についても、「今の段階で名称や役職を変更することは考えていない」と語った。また、領土問題を解決して平和条約を締結することは日本の国益に資するもので、政府として平和条約締結を目指す方針を今後も維持する姿勢を示した。
ロシア外務省は21日、声明を発表し、日本は「非友好的な立場が明白で、わが国の利益を損なおうとしている」と指摘。「現在の状況では、ロシアは日本と平和条約に関する交渉を続けるつもりはない」とした。
また、クリル諸島(北方四島と千島列島)での共同事業に関する日本との協議も打ち切ると表明した。
松野博一官房長官は、ロシア外務省の発表について「事前に説明はなかった」と明らかにした。
日本はロシアのウクライナ侵攻を受け、これまでにロシア要人の資産凍結や半導体などの輸出禁止、最恵国待遇の撤回などの措置を打ち出している。
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