米国のバイデン大統領と中国の習近平国家主席は28日に電話会談を行い、台湾問題を巡って激しい応酬を繰り広げた。習氏が「火遊びすれば身を焦がす」と強くけん制したのに対し、バイデン氏は台湾政策に変わりはないと強調した。双方の発表では、ペロシ米下院議長の台湾訪問計画に関して言及はなかった。
両首脳の電話会談は2時間17分に及んだ。米中間で緊張が高まる台湾問題について協議し、開かれた対話のルートを維持することが不可欠であるとした。対面での会談に向けても模索していく。
バイデン氏は台湾情勢について、米国の政策に変わりはないと伝えた。軍事的圧力を強める中国共産党に対し「現状変更や、台湾海峡の平和と安定を損なおうする一方的な取り組みに強く反対する」と強くけん制した。米政府高官は会見で、「全体を通して、会談は率直で実質的なものだった」と述べた。
これに対し習氏は、台湾への関与を強める米国に対し「火遊びすれば身を焦がす」「米国側がこのことを明確に理解するよう望む」と牽制した。また、中国共産党を戦略的な競争相手としてみなさないよう促したという。習氏の強い言葉について、米政府高官は昨年11月の会談でも同様の言い回しが使われたとし、「中国の常套文句を解析するつもりはない」と述べた。
ナンシー・ペロシ下院議長の台湾訪問計画に関する言及はなかった。ペロシ氏は29日よりアジア歴訪を開始するが、台湾訪問を果たせば、ギングリッチ氏以来25年ぶりとなる。
米国は1979年に定めた台湾関係法に基づき、台湾に自衛の手段となる兵器を提供している。台湾有事に際しての対応を明確にしない「戦略的曖昧さ」と呼ばれる政策も維持している。いっぽう、バイデン氏は5月、中国が台湾へ武力行使した場合、米国が軍事関与する可能性を示唆した。
協議では、中国の不公正な経済慣行や人権弾圧、中国で不当に拘束されている米国人の釈放についても取り上げられた。
米政府高官は、両首脳が対面での会談の重要性について話し合い、双方の政府が会談の実現に向けた調整を進めることで合意したと述べた。
(翻訳編集・山中蓮夏)
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