WHOに主権が集中 194カ国参加のパンデミック条約が協議 ヘリテージ財団「反対すべき」

2023/03/22 更新: 2023/03/22

今、世界保健機関 (WHO) は日本を含む194か国との間に法的拘束力のあるパンデミック条約を結ぶための準備をしている。

この条約が締結されると、パンデミックなど健康上の緊急事態がWHOから宣言されれば、日本を含むすべての加盟国は、治療法、ロックダウンやワクチン義務化などの政府規制、グローバルサプライチェーンの運用、国民の監視などに関して、WHOに服従することになるという。

2月1日、地球規模感染症(パンデミック)への対策のあり方を包括的に定めるパンデミック条約の「基礎草案(ゼロドラフト)」が発表され、2月27日から3月3日まで協議がなされた。

報道するメディアもほとんどないが、この国家主権を揺るがしかねない協議は着実に進められている。フィクションの世界では「世界政府」というものがでてくることがあるが、もしかしたら実現するかもしれないのだ。それもあまり歓迎されない形で‥

条約が締結後、世界はWHOの支配下に?

今回、議論されているパンデミック条約の基礎草案では、WHOには、地球規模のウイルス感染爆発などが起こった際に、緊急事態を宣言・管理する権限が与えられている。

この草案には、WHOの代表者が署名した時点で協定は「暫定的」に発効する、という条項が含まれており、その条項に従うとWHOは議会による批准を経ずに、加盟国に対して法的拘束力を持つことになる。

パンデミック条約のような国際法は、国際法秩序において、国内法に優越することが認められている。加盟国の国民の自由や人権はWHOが叫ぶ「防疫」の名の下に制限される。

イリノイ大学で国際法を専門とするフランシス・ボイル教授は、エポックタイムズに次のように語っている。

「WHA(世界保健総会)とWHOの取り組みは、どちらも致命的に危険だ。どちらかが、あるいは両方が、世界規模の医療警察国家を立ち上げ、WHOの支配下に、特にテドロス事務局長の支配下に置かれることになるだろう。もし、それらの取り組みが進めば、テドロス事務局長やその後継者は、あなたの身近な医者に手を回して、命令を下せるようになる」

“米国とWHOが進める「パンデミック条約」、専門家らが警鐘

https://www.epochtimes.jp/2023/02/138415.html
 

ヘリテージ財団 条約に反対すべき

米国のシンクタンク、ヘリテージ財団は報告書『米国がWHOパンデミック条約の新草案に反対すべき理由』を公表し、その中で「WHOはCOVID-19の防疫に失敗し、また中国の隠蔽に加担したにもかかわらず、世界保健機関(WHO)は新たな世界的パンデミック条約を起草した」と指摘している。

新型コロナウイルス感染が武漢で発生してから、WHOは中国に対して再三、感染状況やゲノム情報など情報開示を求めていたが、中国は無視し、結局、有効な対策を講じることなく、世界流行を招いてしまった。

政府間交渉会議(INB会議)で草案が大幅に改善されない限り、米国はこの条約に反対すべきだと述べている

日本においても緊急事態条項が協議

日本においても、こうした動きに対応しているかのような動きが見られる。

現在、衆議院憲法審査会において、内閣が大災害等で緊急と判断した場合には国会の権能(立法権)を当該内閣が実質的に兼ねることができるとする「緊急事態条項」が衆院憲法審査会において協議されている。

東京新聞によると、16日、緊急事態時に国会議員任期の延長などを可能とする改憲を巡り、自民党が衆参両院の過半数の賛成で「緊急事態」と認定する案、公明党や日本維新の会などが3分の2以上の多数の賛成にする必要があると主張。改憲勢力の中でも見解が分かれている。

WHOによると次の協議は4月3日から6日に開催される政府間交渉会議(INB)の次の会合でなされ、パンデミック協定の基礎草案の交渉を継続する予定だ。

大道修
社会からライフ記事まで幅広く扱っています。