フッ素入り飲料水の歯科健康への効果、過去よりも減少の可能性

最近発表された研究によると、飲料水に含まれるフッ素の歯科健康に対する効果が、過去よりも低下している可能性があることがわかりました。これは、アメリカの裁判官が先月、フッ素が子供のIQに与えるリスクを検討するよう連邦機関に命じた背景もあり、注目を集めています。

この研究は、10月4日に『コクラン・ライブラリー』で公開されたもので、英国のアバディーン大学、ダンディー大学、マンチェスター大学の研究者たちが、飲料水にフッ素が添加された地域と、フッ素が添加されていない地域を比較した157の研究データをレビューしました。

数十年にわたり、科学者や医療・歯科協会は、フッ素の添加が虫歯を減少させる効果があると主張してきました。フッ素の追加は、20世紀における最も偉大な医療関連の業績の一つとされていました。

しかし、研究者によると、1970年代以降、フッ素入り歯磨き粉が普及したことにより、飲料水へのフッ素添加の効果は低下している可能性があるとのことです。

マンチェスター大学の共同執筆者であるルーシー・オマリー博士は、「水道水へのフッ素添加が子供の虫歯をわずかに減少させることを示唆する証拠があります」と述べています。「効果が時間とともに減少しているため、新たなフッ素添加計画を導入する前に、コストや受容性、実現可能性、そして継続的な監視を慎重に検討する必要があります」

1975年以降に行われた研究では、フッ素添加により、乳歯の虫歯がわずかに減少する可能性があるとされています。研究者たちは、英国とオーストラリアで行われた2908人の子供を対象とした研究の分析に基づき、「フッ素添加により、子供一人当たり平均0.24本の乳歯が虫歯にならない可能性がある」と報告しています。ただし、この効果の推定には不確実性が伴い、最近のフッ素添加計画には効果がない可能性もあるとのことです。

これに対して、1975年以前に実施された5708人の子供を対象とした研究の分析では、フッ素添加により、乳歯の虫歯が子供一人当たり平均2.1本減少することが示されました。

 

1975年以降の研究によるフッ素添加の再評価

1975年以降に発表された同じ研究では、飲料水にフッ素を添加することで「虫歯のない子供の割合が3%増加する可能性がある」と報告されていますが、「効果がない可能性もある」との指摘もあります。

マンチェスター大学の共同執筆者であるアン・マリー・グレンニー博士は、「証拠を解釈する際には、時代背景や社会と健康の変化を考慮することが重要です」と述べています。「水道水のフッ素添加に関するほとんどの研究は50年以上前に行われたものであり、フッ素入り歯磨き粉が利用できる前の時代のものです。現代の研究は、今の時代におけるフッ素の効果をより正確に示しています」

この研究結果は、1940年代から広く実施されてきた水道水へのフッ素添加の実践を政府が再評価する可能性を高めることになるでしょう。アメリカ歯科協会(ADA)は、子供の虫歯を予防するために、米国疾病予防管理センター(CDC)の推奨に基づき、水道水1リットルあたり0.7ミリグラムのフッ素添加を推奨しています。

 

フッ素添加に関する裁判所の判断とその影響

2023年9月下旬、アメリカのエドワード・チェン判事は、環境保護庁(EPA)に対して、フッ素が子供のIQにリスクを与える可能性について検討するよう命じました。ただし、フッ素が確実にリスクをもたらすかどうかはまだ不明であるとされています。チェン判事は、「フッ素による健康リスクが米国の飲料水のフッ素濃度において十分に高ければ、EPAによる規制対応が必要です」と書いています。

この判決を受けて、ニューヨーク州ウエストチェスター郡の2つの自治体とテキサス州アビリーン市を含む少なくとも3つの自治体が、水道水のフッ素添加を一時的に中止する方針を表明しました。アビリーン市の発表では、「EPAの規制に変更がある場合、例えばフッ素レベルの調整や警告ラベルの導入など、当市はこれに対応するため、一時的にフッ素添加を中止します。これは公衆の健康を守るための慎重な措置です」と説明しています。

判決後も、アメリカ歯科医師会(ADA)はフッ素添加を支持しており、判決が「コミュニティの水道水フッ素化を安全かつ有益とするADAの支持を変更する科学的根拠にはならない」と述べています。一方、EPAのスポークスマンは、『エポックタイムズ』の取材に対し、判事の決定を現在検討中であるとコメントしています。

ニューヨークを拠点とするエポック タイムズの速報記者。